昨日、否決されてしまいましたが、
今回の内閣不信任案を実りのない「政争」だという声があります。
わたしはそう思っていません。
震災、原発…この時期に内閣不信任案を出せば、あるいはそれに賛意を示せば、
「今はそれどころじゃないでしょ!」
と誹られることを誰もがわかっていることでしょう。
わかっていて、そうせざるを得ないほどの「事態」だということなのだと思います。
ただ、「そういう事態」なのだということが、なかなか普通の報道では見えてきませんね。
だから多くの人には「不毛な政争だ」「茶番だ」と映るのでしょう。
4月の「たけしのテレビダックル」で、政治評論家の福岡政行氏がこう言いました。
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総理大臣の部屋は瓦礫の山でした。
菅直人という瓦礫がいるのです。
官僚も協力できない状態になっている。
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生放送だったからこそ放映された台詞なのかもしれません。
この時の福岡政行氏は、生放送を意識した際どい球を何度か放っています。
http://www.youtube.com/watch?v=5kfDiyyYZbM&feature=related
また、週刊誌には「官僚を怒鳴る」「絶叫する」「部屋から追い出す」などと、もっと重篤な書き方をされています。
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わたしに厳しく言われてカッとなったようで、突然何事かわめきだしたんですよ。ヒステリックを通り越して、ちょっと尋常ではない感じでした。日本語でもフランス語でもないような言葉を、早口で延々わめいているんです。ショックでした。日本の総理大臣がこんなことになっているなんて、思いもよらなかった。
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これは、原発について管首相に説明した佐賀大学元学長、上原晴男氏の話しです。
まあ、週刊誌の場合、森功のように、フィクションをまるで実録のようにレポートする記事もあったりしますから「話半分」としても、そうとうなメルトダウンぶりのようです。
官邸内部の悲惨さをカバーする伝統的メディアという「建屋」はまだ健在なので、中のメルトダウンの詳細を見ることはできませんが、管首相が誰も信じず、孤立し、あきれられている様子はうかがえます。
サミットへの長期出張の理由も、「震災・原発で神経が疲れているからヨーロッパでゆっくりしたら」と伸子夫人に言われてとされるほど。
週刊誌のような言い方はしませんが、昨日の内閣不信任案提出にあたっての演説では賛成派のほうが冴えていました。
大島理森氏の言う事も、ひとつひとつもっともで、惜しむらくは、彼が原発を推進してきた自民党の副総裁だということ(江川紹子さんもツイッターでつぶやいてた)。
こういった情報から感じることは、「こういう人が首相でいて欲しくない」です。
特に今の時期は。
ということで、不信任案を出した政党も、そしてそれに賛成しようとした民主党議員も、けっして混乱を起こそう、権力を握りたい、というような動機ではないとわたしは感じています。
それしか選択肢がなかったから、やみにやまれず、のように思います。
そして、結果は不信任案の否決。
夜の会見では「だましてやったり!」なのでしょうか、心持ちニンマリした顔で話す管首相ですが、彼が得たものはなんなのでしょう?
「この男、ますます信用できん」
という評価はたくさん得たはずです。
その男に「まだ首相をやらせたい」という人たちの望みはいったいなんなのかしら?