動画作家ってなに?
「映像作家」という肩書はよく見受けますね。
でも「動画作家」はあまりなじみがないのか、
「動画作家ってなに?」としばしば訊かれます。
その前に、「映像作家」とは何なのでしょうか。
Wikipediaによれば、「映像作品の制作を専攻する作家を総称」とあり、
「映画監督、CMディレクター、CGクリエイターなどの分野がこれに含まれる」とも記されます。
対象となるのは、映画、広告CM、3Dなども含むコンピュータグラフィックスの作品の創り手のようです。
ここで「映像」の定義が気になるところですが、これは辞書(goo辞書)をひいてみましょう。
- 光線の屈折または反射によって作られた像。
- 映画やテレビの画面に映し出された画像。
- 心の中に一つのまとまった姿として描き出された像。心象。イメージ。
それでは、「動画」を辞書で引くとどう記されているのでしょうか。
連続的に見ると残像効果で動いているように見える、少しずつ変化させた一つながりの画像。映画・アニメーションやビデオカメラで撮影した映像など。
これでは「映像」と「動画」の違いがよくわかりません。
ちなみに、Google翻訳で「映像」と「動画」を打ち込むと、
いずれも「Video」と訳されます。
どっちも英語にすると「Video」=一緒なの?
このふたつの違いが意識されたキッカケは、
one media代表・明石ガクト氏の著した「動画2.0」だと思います。
それ以後、「映像」と「動画」の違いということが、
ネットのインタビューサイトなどでしばしば引用されてきました。
一般的な印象としては、
映像=映画館やテレビなどで映写や放映されるコンテンツ
動画=youtubeやFacebook、Twitterなどwebサービスにアップされているコンテンツ
といった「観る環境の違い」という捉え方をしている人もいます。
その延長として、
映像=映画館のスクリーンやテレビ画面で観られるコンテンツ
動画=iPhoneやiPadなどのスマートホンやデジタルディバイスで観られるコンテンツ
という、「観る装置・ディバイスの違い」という捉え方をしている人もいます。
確かにそういう側面もあって、
●映像作家=映画を作る監督やCGクリエイター、TV番組を作るディレクターやビデオグラファー
●動画作家=Vimeo(ヴィメオ)やTikTok (ティックトック)、YOUTUBEなどにアップするクリエイターやユーチューバー
という見方も、まったく外れではありません。
ただ、それがすべてではなく、そこには重要なキーファクターが隠れています。
そして、それを備えた作品の作家が「動画作家」なのです。
IPTが圧縮された作品を作る人
わたしが動画作家と述べるとき、
その定義は、先述の明石ガクト氏「動画2.0」に拠ります。
すなわち、IPT(Information par time=時間あたりの情報量)
が圧縮された映像作品を作る作家ということです。
わたしが創作しているのは、
ほとんどが短時間で見終われるものです。
(仕事でお請けしているインタビューmovieや
セミナーvideoなどは別です)
「伝えたいことが短い」からではありません。
みなさんの貴重な時間を長時間使うことなく、
多くの情報と、時に感動を得ていただくために
「Douga」という表現を選択しているのです。
どんな作品?
作っている作品のひとつとして、
「テキストと映像、それに音楽とSEが組み合わさった数秒〜60秒程度の作品」
群が挙げられます。
これをわたしは「俳句動画」と呼んでいます。
俳句といっても、季語の起用や文体の形式の強いこだわりはなく、
自由律詩、自由律俳句が念頭にあります。
また、もうひとつは1分〜数分に及ぶもので、
こちらは、「ショートショート動画」と呼んでいます。
そしてミュージックビデオも数多く作っています。
ミュージックビデオは、アイドルやアーティストの
カッコよいショットを載せておけばいいわけではありません。
MVを制作する素材となる楽曲そのものが、
IPT(Information par time)が凝縮された
圧縮ファイルのようなものです。
ですから、そこに添えるビジュアルも
凝縮されたものが要求されることがあります。
「ただのミュージックビデオではない、
まるで凝縮された1本の映画を観たようだ」
といった感想をいただくこともあります。
それも素晴らしい楽曲と出会えたからできること。
いつもそれに感謝しながら作品を作っています。
仕事ではない動画制作を楽しむ
報酬の発生する案件のない日でも、
毎日毎日、Dougaと向き合っています。
わたしが作るDougaの最初の観客はわたしです。
作りながら、時に泣き、時に笑っています。
手を動かすことで、新しい景色が眼前で展開し、
自分で感動します。
作る動画の最初の観客は自分自身なのです。
その体験は、とても素晴らしいものです。
アートとしての超短時間動画の未来
わたしが創作を試みているDougaは、
現状、youtubeなどのネット上で観られます。
でも、もっと別なフォーマットで
別な(ひょっとしたら伝統的な)ステージで
楽しんでいただけないだろうか、
模索しています。
そして、この「動画を作る体験」も、できれば
多くの方と共有していきたいと考えています。