「ビジネスパーソンのための断捨離思考のすすめ」…わたしの友人がいかに戦ってきたのか

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この写真は昨年末の新聞の広告です。
池上彰さんの隣で紹介されている本…
「ビジネスパーソンのための断捨離思考のすすめ」
著者の名前が田崎正巳って書いてあります。
「あれ、これって、あのマサミかなぁ?
 マサミって、正巳だっけ、正己だっけ?」
見た瞬間の感覚はそんなかんじ。
で、実際は「あのマサミ」でありまして、
なんと中学・高校の同級生の田崎正己氏が著者でありました。
彼とは今でも時々、飲んだりする間柄ですが、
数年前、モンゴルへ行ってからはその機会もなく、
本を著しているとはまったく知りませんでした。
なかなか売れている本らしく、
楽天で頼んだら「品切れのため入荷待ち」とのこと。
しばらく待ってからようやく読めたのですが、
その折、著者である田崎正己氏から
「正直な感想を教えて」とメールをもらったので
読後感を彼に伝えました。
まず、わたしの感想文(ダイジェスト版)
———————————————-
(前略)…内容についてですが、実は、わたし、本家の「断捨離」は読んでません。
その上での感想ですが、「断捨離」の思想をビジネス現場に置き換えた時の
「翻訳方法」がわかりやすく記述されていると感じました。
また、わたしの中にあった些細なもやもやも解決してくれました。
たとえばアップルの経営について本書では「断捨離経営」と評していますが、
「あそこはぜんぶ自分でやって囲い込もうとしてる」
と評する人はわたしの周囲にたくさんいます。
それに対し、
「それはそうみえる部分もあるかもしれんけど、ほんとは違うで」
思ってましたが、本書のようには上手に説明できずにいました。
そのあたり、噛み砕いての記述があり、胸のつかえが取れた気がしました。
ところで、キリンが料亭用ではなく家庭用に注力した、とか
アサヒが酒屋や瓶を切ってコンビにや缶にいった、という断捨離は、
「顧客のニーズの変化に素早く対応した」
というよりも、
「それしか道がなかった」
というふうにわたしには見えます。
この例に限らず、仕事や事業での断捨離の成功例は
「断捨離をやりたかった」
というよりも
「そこしか道がなかった」
というケースが多い印象があり、それゆえ、なおさら、
業績が良い時から自らの意思で行う断捨離はとても難しい…よね。
概して、断捨離する時に依るべき処は顧客の視座になるわけだけれど、
特に会社が大きいとそれが見えないところ、多いよね。
以前、大手スーパーの広告の仕事の時に
「それは御社の都合で店に来るお客さんには関係ないことでしょ」
とタンカを切ったら楽勝で仕事を切られたことを思い出しました。
あと、モンゴルの大学での戦略の講義はとてもわかりやすかったよ。
どこかで使わしてもらうかも…。
第4章の「仕事は断捨離でうまくいく」はとても実戦的。
これ、息子たちにも読ませたいなあ。
ただ、章によって、ターゲット像をちょっと変化させてるのかな?
という戸惑いも感じました。
あんまり本質とは関係ないけど、136頁にモンゴル人は狩猟民族が源とあるけど、
遊牧民族って、狩猟民族がソフィスティケイトして遊牧民族になったの?
(中略)
ともあれ、そこここに作者の半生をかいま見ることができ、
それは「同級生がどんな人生を送ってきたか」を想像することであり、
とても刺激的な読書となりました。
どうもありがとう。
もちろん内容としても「人にも奨められる本」だと思います。
もういちど、どうもありがとう。
————————————–
という感想メールを送ったわけですが、
それぞれについてぜんぶコメントやご返事を書いたメールをいただいたわけです。
著作者直々に、そのような丁寧なご返事をいただける機会もそうないだろう…
そいうことで、そのご返事の一部を掲載させていただきます。
(掲載にあたっての了承は得ています。マサミ、サンクス♪)
ちょうど、一問一答みたいな形になってます。
————————————-
> ところで、キリンが料亭用ではなく家庭用に注力した、とか
> アサヒが酒屋や瓶を切ってコンビにや缶にいった、という断捨離は、
> 「顧客のニーズの変化に素早く対応した」
> というよりも、
> 「それしか道がなかった」
> というふうにわたしには見えます。
はい、その通りだと思います。その通りなんですが、ここでは逆に「当時強かっ
た側は、結局対応できなかった」というのをメインに言ってます。
おっしゃるとおり、捨てたんじゃなくて、もともと「捨てられてた」なんだと思
います。
だからこそ、自分の意思で捨てるというのは非常に難しいのですね。
   ・・・・・・・
> この例に限らず、仕事や事業での断捨離の成功例は
> 「断捨離をやりたかった」
> というよりも
> 「そこしか道がなかった」
> というケースが多い印象があり、それゆえ、なおさら、
> 業績が良い時から自らの意思で行う断捨離はとても難しい…よね。
そうそう、そうなんですよ。弱い会社が勝つというよりも、強い会社が自分の意
思で行動できないことが問題になるんです。
   ・・・・・・・
> 概して、断捨離する時に依るべき処は顧客の視座になるわけだけれど、
> 特に会社が大きいとそれが見えないところ、多いよね。
> 以前、大手スーパーの広告の仕事の時に
> 「それは御社の都合で店に来るお客さんには関係ないことでしょ」
> とタンカを切ったら楽勝で仕事を切られたことを思い出しました。
はい、あぜもそうでしょうけど、私らのような外の人間まで「供給者の論理」
にハマったら、全く魅力ない存在になってしまうでしょうね。最初は反発食らう
でしょうけど。
   ・・・・・・・
> あと、モンゴルの大学での戦略の講義はとてもわかりやすかったよ。
> どこかで使わしてもらうかも…。
ありがとう。英語の通訳もいない中で必死だったけど、その分余計な話ができな
いから却ってわかってもらいました。経営戦略なんて言ってるけど、やっぱり戦略
って「戦うこと」なんですよね。
   ・・・・・・・
> 第4章の「仕事は断捨離でうまくいく」はとても実戦的。
> これ、息子たちにも読ませたいなあ。
> ただ、章によって、ターゲット像をちょっと変化させてるのかな?
> という戸惑いも感じました。
はい、さすがはあぜです。その通り、というか、ターゲットは変えてはいません
が、書く姿勢が変わってます。
本当は、私は企業編で終わるつもりでした。企業編は、きちんと論理だてて、事
例も交えながら書けるので、コンサルタント的には書きやすいのです。
ですが、第4章は違います。(後略)
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えっ、最後のところのご返事を要約すると、
ここは自分自身の人生経験に基づいた「説教系」のお話なので
最初はあまり気が進まなかったそうです。
でも編集の人の
「何言ってるんですか!これは田崎本ですよ!
いいんです、証拠なんてなくても主観で書いてください!」
という言葉に尻を叩かれ(?)書いた章らしい。
しかしながら、こういう本の専門家にはこう評されたそうです。
「1−3章は田崎さんらしく、なるほどと思って読んだけど、4章の方がインパクトありました」
これをもってして、「まさに供給者の考えと、消費者(読者)の受け止め方は、こうやってずれがあるんだなと感心した次第です」と受け取るあたり、さすがの田崎クンです。
ともあれ、本人も書いている通り、ビジネスとかマーケッティングとか、
やっぱり「戦い」なのですね。
そして、同級生がそんな戦場を強くしたたかに戦い抜いてきた様が想像できました。
彼以外の同級生たち、仲間たち、みんな戦っているんだろうな。
と、思ってちょっとばかり胸を熱くしたのでした。
彼の本はここから直接買えます。
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