昨日見たフジテレビの年末スペシャル番組「私たちの時代」はすばらしい番組だった。
http://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/pub_2010/101213-246.html
こういう番組を見ると、テレビはまだあってもよいかなと思う。
フジテレビ、やればできるじゃない!
石川県門前町の田舎の高校。
そこのソフトボール部の4年間を追ったドキュメンタリー。
取材中に能登大地震が発生し、部員や町民たちは家や家財を失う。
さらに、過疎化や高齢化の中で存続が許されなくなった高校。
ソフトボール部の部員たちはその中で自分のベストを尽くす。
そこに描かれるドラマはどんな名画の脚本家でも敵わない展開があった。
一言で言えば「青春ドキュメンタリー」なのかもしれないが、
その背景に見える状況はとても広く、物語の奥は深い。
わたしも見ながら何度も泣いてしまったが、
それは「悲しいから」とかいうシンプルな感情ではなく、
もっと深く、さまざまな色を持った感動によるものだった。
たとえば、卒業式で涙をこぼしながら答辞を読む女子卒業生。
けれど、それは「別れを悲しむ涙」ではない。
「わたしたちはなにを信じ、どこへ進んだらいいかわかりません」
そんな言葉が出てくる答辞ってはじめて聞いた。
プロデューサーは横山隆晴。
ググってみたら、以前、「泣きながら生きて」を作った人だった。
これもわたしは号泣してしまった番組だ。
不法滞在しながら娘を大学にやる中国人のドキュメンタリーだけど、
あれもよい番組だった。
ただ、おそらく政治的な理由かなにかで再放送もDVD化もされていない。
昨日の「私たちの時代」を見て、横山隆晴氏の存在はわたしの中で確固たるものとなった。
彼は人の心の動かし方を知っている。
たとえば、ソフトボールの重要な場面で打席に向かう少女。
瞬間、その少女の家が地震によって破壊されるカットが挿入される。
そしてまたバッターボックスの映像。
見る側は、そのバッターボックスで迎える少女の一瞬がどれほどの意味を持つのかを想像してしまう。
また、日本海の風景がとても美しく撮られている。
横山氏が新潟出身だからかな、と思うのは、同じ新潟出身だからの見方かもしれない。
海へ注ぐ光とか色とか、わたしが憶えている日本海を思い出した。
この「私たちの時代」には、再放送やDVD化をはばむ理由はおそらくないと思う。
できれば、その両方が実現し、より多くの人に見てもらいたい。
そんな番組だった。
一年の最後にすばらしい番組を見られてよかった。